極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
「でも、私はなんてひどいことをしてしまったのかしら。謝っても謝り切れない……」
「頭を上げてください。私は未来を産めて本当に幸せでしたから、後悔なんてしていません」
「それにこれからは、俺が文香と未来ちゃんを幸せにするから」

 結貴が力強く言うと、お母様は目を真っ赤にしてうなずく。
 
 その隣でお父様がハンカチを差し出した。
 お母様はハンカチを受け取り、照れくさそうに目元をぬぐう。
 
 まだ少しぎこちないけれど、ふたりはちゃんと夫婦に見えた。

「ゆうきさんの、パパとママなの?」

 話についていけない未来は、首をかしげる。
 きょとんとした表情の未来に、お父様はうなずいて手を伸ばした。

「そうだよ、結貴の父親で、未来ちゃんのおじいちゃんだ」

 そう言いながら、私の腕の中から未来を抱き上げる。

「みらいにパパとおじいちゃんとおばあちゃんが一気にできるなんて、すてき! まほうにかかったみたい!」

 物怖じしない未来は、初対面のお父様に抱き上げられても笑顔だ。
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