極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 きゃっきゃと声を上げて無邪気に笑う未来に、威厳があってダンディなお父様の目じりが下がる。

「いやぁ、かわいいね。こんなかわいい孫ができるなんてうれしいよ」

 子煩悩丸出しのその様子に、結貴とお母様は戸惑いが隠せないようだった。

「おやじのそんな顔、はじめてみた」
「結貴のときは、抱っこもしなかったのに」
「いや、それは。本当は自分の子をかわいがって甘やかしたかったのに、裕子が私に冷たい態度をとるから、なかなかかまえなくて……」
「そうだったの!? あなたは子供に興味がないんだと思ってたわ。それなら言ってくれればよかったのに」
「嫌われてると思い込んでいたから、言えなかったんだよ」

 そんな言い合いをしていると、未来がお父様の腕の中で唇をとがらせる。

「けんかしたあとは、ちゃんとごめんなさいするんだよ」

 そんな無邪気な提案に、ふたりは困ったように目を見合わせる。

 結貴はくすくす笑いながら、お父様の腕から未来を受け取り「ほら、ちゃんと仲直りしないと」とうながす。

< 184 / 197 >

この作品をシェア

pagetop