極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
結貴side
結貴side
父と母が帰った後、文香と未来ちゃんは診察代を払うために待合室で呼ばれるのを待っていた。
その間、俺は少し離れた場所でアランに声をかけた。
「もしかしてアランは未来ちゃんの父親が俺だってことも、不妊が原因で父と母がすれ違って不仲だったことも全て知っていたのか?」
「もちろん」
平然とうなずくアランに、やっぱりかと息を吐きだす。
このタイミングで両親を呼び出すなんて、出来すぎていると思った。
「どうやって……」
「調査会社を使って調べさせました」
アランは整った顔に上品な笑顔を浮かべてそう言う。
「過去の経歴や人間関係を調べて人の弱みを知るのは、当然のリスクマネジメントですよ。それから私個人の趣味でもありますけどね。信頼できる調査会社を知っていますから、困ったときはお気軽にご相談ください」
「お前、恐ろしいやつだな」
「失礼だな。こんな有能な秘書を持てて幸せだと言ってほしいね」
「有能すぎて、怖いよ」