極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 突然俺が父親だと知って戸惑うかなと思ったけれど、未来ちゃんは素直に受け入れてくれた。
 真実を知らせる前からもしかしたらと予感を感じていたのかもしれない。

 未来ちゃんは「じゃあ……」とこちらを見ながら口ごもる。

「なに?」
「ゆうきさんのこと、パパってよんでもいい?」

 そんなかわいいお願いに、思わずくしゃっと笑顔になった。

「もちろん。おいで未来」
 
 俺がうなずくと同時に、小さな体が飛びついてくる。

「パパ! だいすき!」
「俺も、だいすきだよ」

 その様子を、文香が少し離れた場所で見ていた。
 目を真っ赤にした彼女に微笑みかけると、涙を隠すようにこちらに背を向ける。

「文香も、おいで」

 声をかけると、はなをすすってから文香はこちらにやってくる。

 未来を抱き上げたまま、文香のことも抱き寄せる。
 腕の中に愛する人を閉じ込めて、やっと手に入れたんだと実感する。
 
 この先何があっても絶対にふたり幸せにするという決意が込み上げてきた。


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