極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
いろいろあって疲れたのか、しばらくすると未来はうとうとしはじめた。
和室に布団を敷き、寝かせてあげる。
すぐに寝息をたてはじめたあどけない彼女を、文香とふたりで挟んで見下ろした。
「本当に、かわいいな」
声をひそめてつぶやくと、文香が「そうでしょう?」と静かに笑う。
「生まれたばかりの未来も見たかったな。寝返りしたりハイハイしたり、少しずつ成長していく姿を、文香と一緒に見守りたかった」
「……ごめんなさい」
申し訳なさそうに謝る文香に、微笑んでかぶりを振った。
「文香が悪いんじゃないだろ。別れ話をされたとき、俺が諦めずにもっと食い下がればよかったって、ふがいない自分に後悔してるんだよ」
彼女の髪にそっと触れる。
「今までの時間を取り戻せるように、これからはしっかり父親として頑張るから」
「うん」
「だけど、今は父親じゃなくてひとりの男になっていい?」
俺がそう言うと、文香が視線を上げた。