極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 そして俺の言葉の意味を理解して、眼のふちがじわじわと赤くなっていく。

「ええと」
「物音で未来が起きるなら我慢するけど」
「未来は眠りが深いから大丈夫だと思うけど……」

 恥ずかしそうに言いながら、文香は眉を八の字にする。
 その照れた表情がかわいくて仕方ない。

「じゃあ、一緒にシャワー浴びようか」
「い、一緒に?」
「順番に浴びるのを待つ余裕がないから。なんなら浴びなくてもいいけど」
「シャワーは浴びたいけど」
「けど?」
「ここのアパート、浴室の声が響くの」
「じゃあ、浴室ではいたずらしないように努力する」
「それだけじゃなくて、明るいところで裸を見られるのは恥ずかしいし」
「そうやって恥ずかしがるほど、俺を煽ってることに気付いてる?」
「煽ってるわけじゃ……!」
「このまま煽られ続けたら、理性が効かなくなってこのまま押し倒すけど、いい?」

 欲望が滲む声で囁くと、文香はようやく観念して一緒にシャワーを浴びることを了承してくれた。

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