極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 こうやって家族の時間も、夫婦の甘い時間も手に入れられるなんて、一ヶ月前の私は想像もしていなかった。
           

 入院中だった私の祖父もうれしいことにどんどん快方に向かっている。
 
 今日は祖父の「行きたいところがある」という希望で一日外出できることになり、未来を義両親に預け結貴とふたりで病院に迎えに行った。
 
 ずいぶん顔色がよくなった祖父を、結貴の車に乗せる。

「おじいちゃん、一日外出して行きたいところってどこ?」
「それは葉山さんにもう伝えてあるから大丈夫だよ」
「結貴は行き先を知っているの?」

 私がたずねると、ふたりはちょっといたずらっぽく笑った。

 なんだろう、と不思議に思っているうちに車は海へ向かって走る。
 たどりついたのは白く美しい建物だった。

「ここは、どこ?」

 理解できずにいる私に、結貴がなにかを差し出した。
 見れば美しいレースがあしらわれたベールだった。
 
 彼は私の髪にそのベールをかぶせ優しく微笑む。
 
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