極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 彼の後ろにはアッシュブラウンの髪に緑がかった目の色の、綺麗な顔立ちの外国人の男性が立っていた。
 仕事関係の人だろうか。
 
 目が合って私が頭を下げると、彼は上品な笑みを浮かべながら会釈を返してくれた。

「文香はどうして病院に? どこか悪いのか?」

 心配するように問われ、慌てて首を横に振る。

「私は祖父のお見舞い。半年前から入院していて」
「そうか、早くよくなるといいな」
「……うん。ありがとう」

 こういうふうに自然に人を気遣う言葉が出てくるところ、昔からかわってない。
 そう思っていると、結貴がじっとこちらを見ているのに気が付いた。

 なんだろうと首をかしげた私に、結貴は笑みを深くする。

「文香は変わってないな」
「え?」
「五年もたったのが信じられないくらい、相変わらず綺麗だなと思ってみとれてた」

 そう言われた瞬間、頬から火が出そうなほど熱くなった。

「き、綺麗って、からかわないで……っ」

 変わっていないはずがない。
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