極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 私がリアクションをする前に、未来がベッドの上でぴょんぴょん跳ねた。
 耳の後ろで結んだツインテールが一緒に揺れる。

「でも、一緒に食事なんて」

 結貴にはかかわらないようにしようと決めたのに。
 困惑して眉を下げる私を見て、祖父は首をかしげた。

「文香と葉山さんは友人なんだろう? それとも、なにか訳ありなのかい?」
「わ、訳なんてないよ!」
「じゃあ、一緒に食事をしても問題もないね」

 にっこりと笑った祖父に、結貴の連絡先が書かれた名刺を握らされた。

「あとでちゃんと連絡するんだよ」
「うう……」
 
 なんだか罠にはめられたような気分だ。
 
 もしかして私と結貴の関係に気付いているんじゃ……。
 そう思いながら祖父の顔をうかがうと、「ほら、文香も食べなさい」とお菓子を手渡される。

「ゆうきさんにあえるの、たのしみ!」

 未来の笑顔を見るととても断れなくて、私は手に持った名刺とお菓子を見下ろしため息をついた。




 五年前、私は結貴のお母様に紹介された。

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