極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 産まれたばかりのわが子の姿を思い出し、頬を緩ませてからはっとする。
 忙しい朝に、しみじみ思い出に浸っている暇はない。

 慌てて肩までの髪をうしろでひとつにむすび、キッチンへ向かった。

 朝ごはんの準備と同時に、晩御飯の仕込みもしておく。
 お味噌汁はきのこや根菜をたっぷり入れて多めに作り、夜のメインのおかずに野菜やお肉を切り調味料と一緒にビニールの袋につめる。
 
 これで夜は朝の残りのお味噌汁を温めて、ビニールバッグの中身を一気にフライパンで焼く。
 あとは簡単なサラダと、作り置きしておいたかぼちゃの煮物やお漬物を添えるだけで済む。
 
 その間にグリルで焼いていた鮭を取り出し、玉子焼きとブロッコリーと一緒にかわいらしいお皿に乗せた。
 赤、黄、緑で信号機みたいだ。
 
 じゃこと小松菜のふりかけを混ぜ込んだごはんは、食べやすいように小さめのおにぎりにした。

「未来、そろそろ起きてー!」

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