極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
学生時代の結貴は御曹司で裕福だったけれど、『自分でかせいだわけじゃないから』と節度のあるお金の使い方をしていた。
葉山製薬の副社長となった今は、自分の能力に見合った報酬を得ているんだろう。
住む世界の違いを感じて寂しくなる。
「すごい大きなベッド! おひめさまのベッドみたい!」
「寝てみる?」
「いいの?」
「どうぞ、プリンセス」
結貴に微笑まれた未来は、ぱあぁっと顔をかがやかせ靴をぬぐ。
そんな未来を結貴は軽々と抱き上げベッドに乗せてあげた。
ふわふわのマットレスに感激した未来は、ベッドの上でぴょんぴょん飛び跳ねる。
「ベッドってすごい! くもの上みたいにふわふわ!」
「ベッドははじめて?」
「うん。おうちではね、たたみのお部屋におふとんをしいて寝てるの」
「いいね、畳のお部屋」
「ふとんをしくのはママで、まくらをならべるのはみらいのおしごとなんだよ」
胸をはった未来の頭を、ベッドの端に腰かけた結貴が微笑みながらなでてあげる。