極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 新鮮な野菜と一緒に綺麗に盛り付けられたサーモンのマリネに、優しい味わいのマッシュルームのクリームスープ。
 メインの黒毛和牛のハンバーグにはたくさんの茸が添えられていた。
 
 野菜が大好きな未来はチコリやエシャロットなどの普段は口にしない野菜をみつけては、『このおやさいは、なんて名前なの?』とひとつひとつ確認してから楽しそうに口に運ぶ。
 
 その様子を、結貴は目を細め優しい表情でながめていた。
 
 デザートを食べ終えた頃には、すっかりお腹も心もいっぱいになっていた。

「すごくおいしかった」

 そう言った私を見て、結貴が「よかった」と微笑む。

 じっとこちらを見つめる甘い視線に居心地が悪くなって隣を見ると、未来がデザート用のスプーンを握ったまま、こくりこくりと首を揺らしていた。

「あ、未来。寝ちゃだめだよ」

 私が肩を叩こうとすると、結貴に制止された。

「いいよ。はしゃいで疲れたんだろ。少し寝かせてあげよう」

 そう言って立ち上がると、未来の体を抱き上げる。

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