極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 窓の外を見ると夕闇に街の明かりが灯り始めていた。
 
 未来がまぶしくないようにとベッドルームの明かりはつけていなかった。
 開いたドアから漏れる光だけの薄暗い部屋で、ベッドの脇にふたりで座り、未来の寝顔をのぞきこむ。
 
 まるで本当の家族になったような、おだやかな時間だった。

「文香。この前は一方的に気持ちを伝えて悪かった」

 静かに言われ、私は視線を未来に向けたままかぶりを振る。
 顔を上げていないのに、結貴がこちらをじっと見ているのがわかった。

「再会してすぐに好きだと言うなんてただの気まぐれだと思われたかもしれないけど、俺は本気で文香のことが好きだよ」

 結貴に見られている方の耳が、意識するあまり熱を持っていくのを感じた。

 この部屋がうす暗くてよかった。
 明るかったら、赤くなっているのがばれてしまう。

「ごめん。私には未来がいるから」
「もちろん、未来ちゃんのことも大切にしたいと思ってる。文香がひとりで抱えているものを、俺にも背負わせてくれないか」
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