極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
結貴side
結貴side
ホテルの部屋で食事をしたあと一時間ほどお昼寝をした未来ちゃんを起こし、車でふたりを送っていった。
文香と未来ちゃんはゆっくり泊まって朝帰ればいい言うと、文香に『こんな高級なお部屋に泊まれるわけない!』と拒否されて断念した。
できるならもう少しふたりと一緒にいたかったな。
後ろ髪を引かれながら文香の住む家へと向かう。
「ここだよ」と言われ、車を停めた俺は驚いて目を見開いた。
そこにあったのは木造二階建ての小さなアパート。
オートロックはもちろん、玄関にはモニターすらついていない。
「こんなところに住んでいるのか?」
素直な感想を漏らすと、文香は顔をしかめる。
「結貴から見ればひどいアパートかもしれないけど、私にはこれが精いっぱいなの」
「でも、なんのセキュリティもなくて不用心すぎる」