極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
「きちんとカギをかけたり、窓をあけっぱなしにしないようにしたり、気を付けてるから大丈夫だよ」

 文香はそう言うけれど、ここで女性と小さな女の子がふたりきりで暮らすのはやはり防犯面で不安を感じる。

「もしよかったら、俺の住んでるマンションに引っ越してくる? 俺と同居するのがイヤなら別に部屋を借りても……」
「何言ってるの」

 真剣な提案に文香は苦笑いをする。
 どうやら冗談だと受け止められたらしい。
 
 俺はふたりのためならなんだってしたいのに。
 
 車を降りふたりを見送ろうとすると、未来ちゃんが俺の手をきゅっと握った。

「ゆうきさんはもうかえっちゃうの?」
「うん、今日は帰るよ」

 俺がうなずくと、未来ちゃんはしょんぼりとした表情になる。

「もうすこし、ゆうきさんといっしょにあそびたかったな」

 自分の靴を見下ろしながらひとりごとのようにつぶやく。
 そのいじらしさがかわいくて胸がつまった。
 
 すると、見かねた文香が口を開く。

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