極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 俺は未来ちゃんのさらさらの髪をそっとなでる。

「俺の膝でよければ、いつでも座っていいよ」
「ほんと!?」

 俺を見上げた未来ちゃんが、ぱぁっと明るい笑顔になった。
 
 けなげさに胸が詰まる。
 文香とこの子の幸せのためなら、どんなことでもしてあげたいと心から思った。
 
 そこにティーポットが乗ったお盆を持った文香が戻ってきた。
 俺の膝の上にいる未来ちゃんを見て、困ったように眉を下げる。

「未来が甘えてごめんね」
「いや、かわいい絵を見せてもらえて俺も楽しいから、大丈夫だよ」

 未来ちゃんも俺をまねして「だいじょうぶだよ」と繰り返す。
 そのかわいさに文香の困り顔が笑顔になった。

「どんな絵を見てたの? ママも仲間に入れて」
「いいよ。これはねこちゃんで、これはとりさん!」

 自慢げに自分が描いた絵を説明してくれる。

「未来ちゃんは、絵が上手だね」

 心から褒めると、未来ちゃんは小さな肩をすくめうれしそうに笑った。

「ゆうきさんは、なんのどうぶつがすき?」
< 76 / 197 >

この作品をシェア

pagetop