極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 綺麗な鼻筋と口元はきっと結貴に似たんだと思う。
 
 未来の父親の結貴は、とても素敵な人だった。
 艶のある黒髪に、同じ色の綺麗な瞳はいつも柔らかな笑みをたたえていた。
 育ちの良さを感じさせるスマートな立ち振る舞いに、精悍で整った顔。
 視線を引き付ける引力を生まれつき持った魅力的な人。
 
 そして、私とは別世界に生きる人。
 
 大学生だった私は、不相応な人に恋をしてしまったんだ。
 
 胸の奥がきゅっと痛む。わずかに顔をしかめた私を、未来が「ママ?」と不思議そうに見上げていた。
 
 慌てて笑顔をつくり「なんでもないよ」と首を横に振る。

「さ、急ごうか。保育園に遅刻しちゃう」
「はぁい」

 私の言葉に素直にうなずき、一生懸命ご飯を食べる。
 その姿が微笑ましくて、笑みがもれた。




「ママ、きょうはおむかえ何時?」

 保育園の入り口で未来に聞かれ、私は体をかがめ視線を合わせる。
 
 私は派遣会社に登録し、ファミリーレストランのホールスタッフとして働いている。
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