極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
「すごく美味しそうだよ。文香は料理上手だよな。栄養学の勉強をしていただけあって、体によさそうだし」
「今は完全に趣味としてだけどね」

 テーブルの上にお皿を並べながらそんな会話をしていると、未来がきょとんと瞬きをした。

「ゆうきさんは、ママのごはんを食べたことあるの?」
「えっと」

 娘に『ママの元恋人なんだよ』なんて説明をするのもおかしいし、と私が口ごもっていると、隣に立つ結貴がにこりと微笑んだ。

「昔お弁当を作ってもらったことがあるんだよ。すごく美味しくて感動したから、今でもよく覚えてる」
「へぇ! パパもね、ママの作るおべんとうがだいすきだったんだって!」

 結貴の言葉を聞いて未来の顔がぱぁっと明るくなる。
けれどそれとは対照的に、結貴の表情が曇った。

「パパも、文香にお弁当を作ってもらったんだ」
「うん。はじめてのデートのときにママがパパにおべんとうを作ってあげたら、パパはおおよろこびしてたくさん写真をとったんだって」
「み、未来。そんな話はいいから……!」

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