極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています

 無邪気な笑顔に、なんと返事をしていいのかわからなくなる。

「目のまえにおおきな海みたいなすいそうがあって、たくさんお魚がおよいでて、ちがう世界に入ったみたいでびっくりしたの! みらい、あのとき行ったすいぞくかんのこと、きっと大人になってもずっとおぼえていると思う」

 目をキラキラさせてこちらを見る。その無垢な感情に心が震えた。

 これからいろんなことを体験していく彼女の記憶の中に、自分との思い出をひとつでも残してもらえることが、とても嬉しく尊く思える。
 
 胸に熱い感情が込み上げてきて、自分の動揺に戸惑いながらも笑顔をつくる。

「すごい、上手だね」

 なんとかそう言ったけれど、その声は少し震えていた。

 俺の動揺を感じ取ったのか、未来ちゃんは少し不思議そうな表情を浮かべる。

「ゆうきさん、うれしい?」
「うん、未来ちゃんと文香の仲良し家族の仲間に入れてもらえたみたいで、すごくうれしいよ」
「ゆうきさんのかぞくはなかよし?」

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