極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 俺たちのやりとりを見ていた文香が、「未来の絵をとってもとっても気に入ってくれたんだよ」と助け船を出してくれる。

「そうなの?」
「そう。すごく気に入ったから大切にしたいんだ」

 不思議そうな表情の未来ちゃんに微笑みかけてから、文香に「ハサミを貸してもらえる?」と頼む。

 慎重にスケッチブックから絵を切り離す俺を、未来ちゃんと文香がくすくすと笑いながら見ていた。
                  
                       

 翌週、車で移動中にスマホを取り出し眺めていると、赤信号で車を停めたアランがこちらを振り返った。

「さっきからニヤニヤしながらなにを見てるんだ?」と尋ねられ、画面を彼に向ける。

「なにこれ」

 そこに表示されているのは、未来ちゃんの絵だ。

 もらった絵を大切に持ち帰り、いつでも見られるようスマホで撮った。

 説明すると、アランはあきれたように肩を上げる。

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