極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
「好きな女の子供をそこまでかわいく思えるってすごいな。嫉妬したりしない?」
「嫉妬心がまったくないと言えば嘘になるけど、未来ちゃんは本当にかわいいよ」

 俺が未来ちゃんの父親の顔を知らず彼の面影を感じずにすむからか、自分の娘のように愛おしく思える。

「娘とだけじゃなく、母親とも順調に親交を深めているの?」

 そう問われ、渋い表情になる。
 
 告白は断られたし、会ってくれるのはあくまで友人のひとりとしてだ。
 彼女はまだ、亡くなった未来の父親を愛し続けている。

「ふーん。葉山製薬の御曹司の結貴に口説かれても揺らがないなんて、すごい女性だね。興味がわいてきた」
 
 完全に面白がっている様子のアランに苦笑いする。
 するとアランは「次のアポまで時間があるから、少しお茶でも飲もうか」とハンドルを切った。

                 

「いらっしゃいませ」
 
 店内に入ると柔らかな声に出迎えられ、思わず目を丸くした。
 
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