極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 俺たちを迎えた彼女も同様に、驚いたように目をまたたかせていた。

「あ、ええと……。二名様、でよろしいですか?」

 動揺しながらも必死に平静に振る舞い席に案内してくれるのは文香だ。

 次の打ち合わせまでに時間があるからとアランに連れてこられたのはファミレスだった。
 彼がこういう店を選ぶのは珍しいなと思いつつ店内に入ると、そこに文香がいた。

 アランに文香がファミレスで働いていることは話したけれど、まさか店を特定しているとは思わなかった。

 前もって教えておいてくれよと恨みこめた視線を向けると、アランは「有能な秘書を持てて幸せだろ」とにっこり笑う。
 
 俺はため息をつきながら席に着き、メニューを差し出す文香を改めて見る。
 
 クラシカルなデザインの水色のワンピースに白いエプロン。
 サラサラの髪を後ろでひとつにまとめた清楚な雰囲気の彼女に、その制服はとても似合っていた。
 
 前に未来ちゃんもとてもかわいいと言っていた。
 素敵なママを自慢したくなるのもわかる。

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