私の彼は魔王様
『そんな...。』


『きつい言い方をして済まない。全ては僕のせいだ。...それに君は最近魔界へ行っている。魔界と人間界は満月の夜の数時間だけゲートが開いて出入りできる。皇くんは君を助ける為、閉まったゲートを無理やり開けた。それも問題になっている。』



『そんな...。』


『花梨、僕と旅にでないか?最初は辛いかもしれないが時間が解決してくれる。』



『少し...考えさせて下さい。』



『ああ。もちろんだ。花梨。』



気が付くと笹原さんは居なかった。もう夜になっている。


『もうこんな時間。カーテン閉めなきゃ。』


立ち上がってカーテンを閉める。


(もう、皇とは一緒にいられないの?)


(あたしはどうしたらいいの?)



カーテンを閉めた手が震える。


『皇。』


『皇。あたし。』


(本当に悲しい時って涙が出ないんだね。)


気が付くとあたしはあてもなく町をさ迷い歩いていた。
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