私の彼は魔王様
どこをどうやって歩いたか覚えていない。


海にいた。


砂浜に座る。


誰も居ない海。


涙で視界がぼやける。


『花梨さん?』

顔を上げると蓮が側に立っている。


『どうしてここに?皇は?』
『兄上には客人が来てね。追い出された。』


(きっと笹原さんだ。)

直感的に確信する。

『泣いてるの?花梨さん。』


あたしの顔を覗きこんで蓮が言った。

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