隣のキミをもっと溺愛、したい。
二人で目を合わせて笑い合った。


一ノ瀬くんの腕のなか、
すごく緊張してドキドキして、
恥ずかしくてたまらない。


体を起こし、
一ノ瀬くんの腕のなかから解放されて

赤く染まった顔を隠して
ホッと息をつく。


すると、一ノ瀬くんが真剣な表情で、
顔を寄せる。


「あのさ、天野。
サッカーより面白かった?」


「うん。面白かった!」


「じゃ、サッカーより好きになって」


「う、うん」


なんだろう、バスケ普及キャンペーン中?


でも、一ノ瀬くんが
黒い瞳を揺らして
楽しそうに笑ってくれるから、

それだけで、
嬉しくて胸がいっぱい。


すると、イスに座った一ノ瀬くんが
ノートに手を伸ばす。


「専門用語とかよくわからなくて。
頑張って書いてみたんだけど、
めちゃくちゃでごめんなさい」


視線を落として謝ると、
一ノ瀬くんが目を丸くする。


「天野、スリーポイント以外の
シュートやパスまで記録してくれたんだ。

これ、マジでめちゃくちゃ参考になる」


ノートを見ながら、
顔を輝かせている一ノ瀬くんに
ホッとする。


ちょっとでも
一ノ瀬くんの役に立てたのなら
嬉しいな。


すると、ノートを閉じた一ノ瀬くんが
ゆっくりと顔を上げる。


「天野、ノートのお礼、させて?」


一ノ瀬くんの綺麗な瞳が大きく揺れて、
ドキリとする。


「で、でも、
いつも助けてもらってるのは
私の方だから! 

一ノ瀬くん、いつもありがとう」


「だめ?」


一ノ瀬くんの顔がすぐ目の前に迫る。


う、うわわっ!


ち、近いよ、一ノ瀬くん!


なんだか、一ノ瀬くんの距離感、
やっぱりちょっとおかしいかも!


なんだかもう
ドキドキしすぎて、息が苦しい。

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