隣のキミをもっと溺愛、したい。
「お守り?」


「お父さんが、
明日から出張でアメリカに行くから、

留学中のお姉ちゃんに
渡してもらおうかなって」


「そっか」


一ノ瀬くん、
すごく楽しそうに
話を聞いてくれるから嬉しいな。


「あのさ、
天野にずっと聞きたかったことがあって」


立ち止まってくるりと振り返った
一ノ瀬くんと向き合う。


「鷹島先輩とは、どういう関係?」


「え?」


礼くん?

どうして、急に
礼くんの話になったんだろう?


「えっと、礼くんはね……」


と、言って言葉につまる。

礼くんのことを、
なんて説明したらいいんだろう?


「天野の幼なじみ、的な?」


「あ、うん。小さい頃に同じ社宅だったの。
今も同じマンションに住んでて」


「ふーん」


一ノ瀬くんの表情に影がさす。



「一ノ瀬くん、どうしたの?」


「なんでもないよ。行こっか」


柔らかな声でそう言った一ノ瀬くんに
ホッとして、

花籠神社にむかった。

< 113 / 276 >

この作品をシェア

pagetop