隣のキミをもっと溺愛、したい。
「ちょ、ちょっと待って、一ノ瀬くん? 

私、こんなことされちゃうと、
バカだから勘違いしちゃうっていうか。

こういうのは、
好きな人とかとするんじゃ
ないのかなって思ってて。

だから、そのっ。

一ノ瀬くんと手をつないで
普通でいられるはずがないっていうか!

その、一ノ瀬くん、
ちょっと自分の破壊力に
無頓着すぎるっていうか!

もしかしたら、
一ノ瀬家にはそういう風習? とか、
しきたりがあるのかもしれないけど。

お守りもらうときは手をつなぐ、とか、
石段上るときには手をつなぐとか。

でも、私、そういうのすごく疎くて!

あの、だから、
どうしていいのか分からなくて
混乱しちゃってるの!

えっと、だから」


「それじゃ、勘違い、してて」


「え?」


「だから、勘違い、してて。
多分、それ、勘違いじゃないから」


「ち、ち、近いよ、一ノ瀬くんっ!」


目の前に迫る一ノ瀬くんの顔に
パクパクと声にならない声をだす。


勘違いって自分で言ったけど、
こうなってくると勘違いの意味も
分からなくなってくる。

私はなにを勘違いしてるんだろう?


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