隣のキミをもっと溺愛、したい。
「天野、俺、再来週の日曜に
でかい大会があって、

その大会で
スリーポイントシュートのMVP狙ってる。

今季日本一の
スリーポイントシューターになるために、
死ぬ気で練習してきた。

MVP取ったら、自分のなかで
けじめつけたいと思ってることがある。

もしMVPが取れたら

天野に伝えたいことがあるから、
聞いてほしい」


「うん」


「今日、天野に記録してもらったノートは
大会のお守りにする。

だから、天野、その日まで待ってて」

「わかった」


一ノ瀬くんの真剣な眼差しを、
必死に受け止める。


「だから、天野。
その日まで他の男のものにならないで」


甘い眼差しで見つめられて
思考が完全停止。


「うん、わかった」


大きく
コクンとうなづいて、

首をかしげたまま動きを止める。


………ん?


今、一ノ瀬くん、なんて言ったんだろう?


ほかの?

男の?

……ものにならないで?


その言葉を頭の中で必死になぞる。


目の前の一ノ瀬くんは
いつになく真剣な眼差しで。


その意味を図りかねて、

じっと一ノ瀬くんの目をのぞきこむ。


「天野、俺が言ってる意味、わかってる?」


「た、多分?」


「俺の話聞いてた?」


「う、うん」



提灯の柔らかい灯りに、
一ノ瀬くんの強い瞳が浮かび上がる。


「天野、それまで俺のことだけ考えて」


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