隣のキミをもっと溺愛、したい。
一ノ瀬くんの胸のなかで、
私の思考回路が

あっちこっちでショートしている。


「天野、わかった?」


「わ、わかったと、思う」


一ノ瀬くんの腕のなかで
コクンコクンと頭を縦に振る。


心臓が、もう爆発寸前というほどに
激しくその鼓動を鳴らす。


「くく、天野、顔、真っ赤」


「だ、だって!」


ち、ちかいっ。
一ノ瀬くんの笑顔が、ちかいっ。


それに、一ノ瀬くんの笑顔が
これまで見たことがないくらいに、甘い!


こ、こんなに甘い顔してる一ノ瀬くん、
見たことないよっ。


このひと、自分のカッコよさに
全く気がついてないんだっ!


一ノ瀬くんに

そんなに甘い瞳で見つめられたら
判断力なんて、全部奪われちゃうよっ!


「あのさ、天野」


「は、はいい」


緊張で、
もう声が裏返りそう。



「俺、ホントは今すぐにでも
天野にキスしたいんだけど」


「は、はい?」


しっかりと2オクターブほど
声が裏返った。


「俺も我慢するから、
天野もイイコにして待っててね?」


もう、頭のなかは真っ白。


「天野、わかった?」


一ノ瀬くんの両手が私の頬っぺたを包む。


こ、こんな一ノ瀬くん、知らない!
こんなの一ノ瀬くんじゃないっ!

いつも眠そうにしてるのにっ!

あんなにぼんやりしてるのにっ!


もう、心臓の鼓動が乱れ狂い、
ぶんぶんと頷くのに精一杯だよっ。


「天野が可愛いすぎて、やばい」


甘すぎる一ノ瀬くんに
呆然としていると、

ゆっくりと近づく一ノ瀬くんの唇が

そっと、
私のおでこに触れた。


「!!!」


「天野の唇は俺のだから。
忘れちゃだめだよ?」


一ノ瀬くんの指先が
大切なものに触れるように

私の唇に触れた。


想定外の出来事の連続に
完全に思考が停止。


じっと一ノ瀬くんを見つめたまま
固まった。


「天野、聞いてる?」


「あ、うん、はい! 聞いてるっ」


「くくっ、天野、動揺しすぎっ」


こ、こんな状況で動揺しないひとなんて
いないんじゃないかなっ。


もう、心臓はドキドキするし、
手は震えるし、

顔はどんどん赤くなるし、

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