隣のキミをもっと溺愛、したい。
とてもじゃないけど、
普通ではいられないよっ。


見上げれば、
一ノ瀬くんは楽しそうに瞳を輝かせていて。


一ノ瀬くんは、どうしてこんなに
落ち着いていられるんだろう?


私ばっかりが緊張して、驚いてばかりで
どうしたらいいのかわからない。

そう思った瞬間。


一ノ瀬くんが、
私の手をそっとつかんで自分の胸に当てた。


びっくりして、小さく跳びあがると。


シャツの上から
ドクンドクンと手のひらに伝わる
一ノ瀬くんの心臓の大きな鼓動に
パッと顔をあげる。


「俺だって、めちゃくちゃ緊張してる。
全然、普通じゃいられないよ。

こんなふうに手をつなぐのも、
こんなこと言うのも天野だけだし」


照れたように笑う一ノ瀬くんに
胸がキュンとして

ますます苦しくなる。

苦しいのに、嬉しくて、くすぐったくて。


一ノ瀬くんを見ていたいのに
恥ずかしくてたまらない。


もう、どうしたらいいのかわからない。


「そろそろ、帰ろっか」


ふんわりと笑いながら
一ノ瀬くんが差し出した手を、

戸惑いながら、ギュッと握った。

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