隣のキミをもっと溺愛、したい。
くすくすと笑う一ノ瀬くんは
どこか余裕があって、

気持ちが全然追い付かない。

結局、家の前まで
一ノ瀬くんと手をつないで
帰ってしまった。


でも、緊張して手は震えるし、
頭のなかはものすごく混乱していて、

なにを話したのか思い出せない。


なんだか、
今日の一ノ瀬くんは
いつもとは全然違っていた。

瞳に迷いがなくて強くて、凛としていて。

まるで、
バスケットボールを追っているときの
一ノ瀬くんみたいだった。

それなのに、
言葉や仕草がすごく甘くて、

今日の一ノ瀬くんには
ドキドキドキドキさせられてばかり。


「じゃ」

「う、うん、今日はありがとう」


一ノ瀬くんに見守られながら
マンションのエントランスに入った。


まるですべてが 
夢の中の出来事みたいに
ふわふわしている。


でも、心臓だけが休まることなく
ずっとドキドキしていて。


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