隣のキミをもっと溺愛、したい。
【羽衣side】


「礼くん、どうしたの?」


ご機嫌ななめの礼くんに首をかしげる。


お姉ちゃんと喧嘩でもしたのかな?



「羽衣さ、あいつのこと、好きなの?」


「あいつって、だれのこと?」


「バスケ部のキラくん」


「キラくん?」



どこかで聞いた名前のような気がするけど、

ズキリと痛んだ頭に
思考が中断されてしまう。


「なんでもない、違うならいいよ。
ごめんな、余計なこと聞いて」


こめかみを押さえる私に
礼くんが申し訳なさそうな顔をする。


はあ……

みんなに心配かけて、情けないなあ。


油断すると
頭のなかがズキズキと痛んで

その鋭い痛みが
頭のなかを複雑にもつれさせて

ぐちゃぐちゃにさせる。


こんがらがった頭のなかは
どんどん無秩序になって、

思い出そうとすればするほど
なんだかよくわからなくなってくる。


すると、礼くんが
少し考えたそぶりを見せて口をひらく。


「あのさ、羽衣って好きな奴とかいるの?
えーと、たとえば一ノ瀬とか」


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