隣のキミをもっと溺愛、したい。

忘れてしまったのは。

「しばらくバスケ部の見学、
禁止なんだって」


帰りに廊下を歩いていると、
そんな話し声が聞こえてきた。


「一ノ瀬くんがスランプらしいよ」


「あそこの追っかけ、濃いからね」


「それに、この前の……、あっ！」


私の顔を見て会話をピタリと止めた
そのひとたちを、不思議に思う。


話したこともない人たちなのに、
気まずそうな表情を向けられて

どう反応したらいいのか
わからない。

私、なにかしたのかな？

もとの生活に戻ったようでいて
なにかが違う。


やっと学校に戻れたのに
居場所をなくしまったかのような感覚が
ぬぐい切れずにいる。

一ノ瀬くんの話と
なにか関係があるのかな？


それに、
一ノ瀬くんのことを考えるだけで
胸がぎゅっと苦しくなるのは、
どうしてなんだろう？