隣のキミをもっと溺愛、したい。
「そういえば、
私もこの前、電車で
知らないひとからメモ渡されてね」

「え?」

驚いて顔を上げた一ノ瀬くん。

おっと、そんなに意外だったかな?


「初めてだったから、
すごくうれしくて

ドキドキしながら
そのメモ見てみたんだ。

そしたら、

“スカートのファスナー開いてますよ”って
書いてあったの。

朝寝坊して、

スカートのファスナー全開で
電車乗ってた、っていうね」


「……」


「もう、恥ずかしくてたまらなかったよ」


「……」


無言の一ノ瀬くんに、
ふと我に返った。

んん?

私、なんでこんな恥ずかしい話、
披露しちゃったんだろう?


って、一ノ瀬くん、まさか、寝てる?


動きを止めている一ノ瀬くんを
じっと確認すると、

綺麗な瞳を見開いて停止している。


「一ノ瀬くん?」


「ん?」


うん、起きてる、大丈夫。


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