隣のキミをもっと溺愛、したい。
……ふたりで?

途端に心にもやがかかる。

窓から風が吹きこみ、

日誌を必死で書いている
天野の柔らかそうな前髪が
ふわりと風に浮く。


「終わった!」


そう言って立ち上がった天野の腕を、
とっさにつかんだ。


キョトンと振り返った天野を
見つめながら、

天野の腕をつかむ手のひらに
ギュッと、ちからを込める。


「天野、どこ行くの?」


「え? ……あ、
中学のときの担任の先生が
結婚することになって、

みんなで遊びに行くんだけど」


『行くなよ』、

なんて言えるはずもなく。


目を丸くしている天野に、
ゴホンと咳払い。


「あのさ、天野…」


「あ、あ、あのっ!」


天野の顔が
赤く染まっていることに気づいて、

パッと手を離す。


「あ、悪いっ」


「う、ううん」


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