隣のキミをもっと溺愛、したい。
【羽衣side】

朝露がきらりと輝き、空気が澄みわたる
朝の早い時間に学校に向かう。

ひとけのない学校はいつもと違って
静かに目に映る。

体育館裏の花壇で
新しく植えた花の苗に水をあげていると、

誰もいないはずの体育館で音がする。


もしかすると……


ドキドキしながら
少しの期待を込めて
開かれた体育館の扉から
ちょこんと覗くと、

ひとりで
シュート練習をしている
一ノ瀬くんの姿があった。


ゴールに跳ね返ったボールを、
大きくジャンプして
片手でとらえた一ノ瀬くんは、

軽くドリブルをして、
少し離れたところから
シュートを決めている。


鋭い瞳でゴールを狙い、

ボールを弾ませて
ドリブルからシュートを繰り返す。


体をしならせてシュートを放つと、

一ノ瀬くんの汗が
体育館に差し込む朝陽に
キラキラと輝く。


朝陽に照らされる
一ノ瀬くんの真剣な顔つきは、

いつもの眠たそうな
一ノ瀬くんの表情とは全然違っていて、
その凛とした表情に
またひとつ、ドキリとする。


なんて綺麗な横顔なんだろう……


ボールが床を打つ鈍い音に、
心臓の鼓動が重なる。

一ノ瀬くんの姿から、目が離せない。


なんだか一ノ瀬くん、ずるいよ。


いつもは、
あんなにぼんやりしてるのに、


バスケをしてるときには、
こんなに凛々しくてカッコイイなんて。


こんなの、反則。

だって、こんな姿をみたら絶対……

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