隣のキミをもっと溺愛、したい。
その先の言葉をなんとか飲み込む。


学校で一番人気のある一ノ瀬くんに
特別な想いをいだくだなんて、

恐れ多くてそんなこと、
考えちゃいけないような気さえする。


でも、一ノ瀬くんを見ていると、
トクトクと
心臓がその鼓動を早める。


昨日の一ノ瀬くんを思い出す。

『天野、どこ行くの』

あのときの一ノ瀬くんの瞳は、
どうしてなのか真剣そのものだった。


一ノ瀬くんにつかまれた
手首は熱を帯びたまま、

夜寝るまで、
一ノ瀬くんの笑顔が忘れられなくて
ドキドキしていた。


するとバタバタと
体育館に近づく足音が響いてくる。


「ねえねえ、キラ君、
もう練習してるよーっ!」


女の子たちの高い声が響いて、
慌てて花壇にもどった。

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