隣のキミをもっと溺愛、したい。
【一ノ瀬side】


数学の時間、

気持ち良さそうにうとうとと
居眠りしている天野の横顔を
ぼんやりと眺める。


窓から流れ込む爽やかな風に
天野の長い髪がかすかに揺れて、

目を伏せた横顔に光が跳ねる。


小さい顔、してるよな。

瞳をくるくると動かして
頬っぺた赤くして、
天野はいつも
ニコニコと楽しそうに笑っている。


と、その瞬間、
担任で数学担当の前川が
うたたねしている天野に気が付いた。


「おいっ、天野! おいっ」


肩を揺らしたけれど遅かった。


「はい、天野、(3)黒板に書いて」


「……ん?」


寝ぼけて
キョロキョロしている天野に、

解法をまとめたノートを
前川から見えないように手渡した。

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