隣のキミをもっと溺愛、したい。
すると、用具室のすみっこに積まれた
体操マットに座った一ノ瀬くんが、

となりをポンポンと、手のひらで叩く。


んん?


「ここ、座って」


そ、それは、となりに座れと?


ちらりと上目遣いで一ノ瀬くんを見ると、
一ノ瀬くんは
柔らかい笑顔を見せている。


ううっ。

緊張しながら、
一ノ瀬くんのとなりにちょこんと座る。


でも、
心臓が口から飛び出して転がり落ちて、
どこかにいっちゃうんじゃないかってほど、

ドキドキしてとまらない。


「天野、これ見て」


緊張している私に
まったく気づく様子もなく、 

一ノ瀬くんは
ポケットからスマホを取り出した。


スマホの画面では、

赤いユニフォームを着た選手たちが
ボールを追って、走り回っている。
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