読めないあなたに小説を。
知られてしまった秘密
*
恵弥くんの隣の席になって、2週間が過ぎた。
あれから私は、なんとなく教室に登校出来ている。
慣れない空間にいることは苦痛で、
いつもクタクタになって帰宅している。
恵弥くんとは、あれからあんまり喋っていない。
私が「おはよう」と声をかけても、彼は答えてくれないし、
話題も見つからないので何故か話しかけられない。
せっかく彼の良さが分かったのに、
なかなか彼に近付けないでいた。
学校での恵弥くんは、とても活発。
人と慣れ合うのはあんまり好きじゃないみたいだけれど、
それなりに友達とはしゃぐことも多い。
バカなことをしては笑って過ごしている。
あの笑顔は私だけが知っているわけじゃないんだと知った時は
何故かショックだったけど、
恵弥くんが笑っていられるのはいいことだと思った。
私の苦手なスポーツテストも無事に終わって、
みんなようやく落ち着いた生活に切り替えていく中、
また新たなイベントが発生しようとしていた。
「えー、去年様々な理由から中止になって
出来なかった合宿を決行することになった。
今からグループ分けをしてもらう。
先生、クジを作って来たから順番に引けよ」
合宿とは、みんなが親交を深めるために計画されたもので、
2泊3日するらしい。
家を離れてみんなと3日も一緒にいるなんて
考えただけでもゾッとする。
私、合宿中ちゃんとみんなと仲良く出来るのかな。
その前にグループ決めだ。
クジってことは誰となるか分からないってこと。
まあ、好きなように決めろって言われても
あぶれてしまうからクジの方がマシなんだけど。
グループは男女2人ずつの4人で形成される。
誰とも仲良くない私は、一体どうすればいいのだろうか。