読めないあなたに小説を。



そうなったのには、理由がある。


私には暗い過去があるのだ。



中学2年の夏、仲の良かった友達、真美ちゃんから相談を受けた。


その頃の私は、言いたいことをズバズバ言っていたので、
頼りにされて相談を受けることが多かった。


その日も私は、真美ちゃんの相談に乗っていた。


真美ちゃんはいじめを受けていて、
辛くて死にたくなるのだと打ち明けてきた。


だから相談を受けた後、いじめている奴らに、言ってやった。
そんなことして恥ずかしくないのかって。


正義感に溢れていた私は、
いじめはよくないとはっきりわかっていたけれど、
一つだけ間違っていることがあった。


そのことで傷つけることになるとはつゆ知らず、
私は真美ちゃんに
『でも、いじめられる側にも何か原因はある』と言ってしまったのだ。




『あのね、いじめられているからって悲しんだりするからダメなのよ。
 そんなの気にしないで、ドンと構えていたらいいのよ。
 そうすればあいつら、諦めるから』



その時の真美ちゃんの顔は、今でも覚えている。
一瞬だけ見せた、あの悲しそうな顔。


それからその後すぐに困ったように笑って
『そうだよね』と言っていた。









その日の夜、真美ちゃんは自宅マンションの屋上から
飛び降りて死んでしまった。








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