この溺愛、絶対ナイショです♡
何やってるんだろう。
仕方ないことだって分かってるのに。
顔をぺしぺし叩くと、わたしはさっきの場所へ戻った。
わたしたち一般の生徒はエキストラとして撮影に参加する。
みんなわくわくしている様子だった。
「普段通りにしていて下さいね」
「はい!」
普段通りって言っても、そう出来ないよね。
「撮影を始めたいと思います。生徒の皆さんは先程の指示通りに動いて下さい」
スタッフの指示でわたしは廊下に行った。
わたしは通行人の役をやるのだ。
「本番五秒前、四、三……」
『レイ!待ってよ!』
『…は?』
『私、レイに嫌われたくない』
『俺はお前のこと、嫌いだ』
ミサキの目から涙が溢れる。
『そんなっ、私はレイのこと大好きなんだよ!?』
レイはミサキに掴まれた手を振り払った。
『…俺には関係ねぇ。二度と俺に関わるな』
「カット!!!」
景斗くんの冷たい演技がすごくよかった。
引き込まれるみたいで、みんなが釘つけだった。
「瀬川くん、いいね。
クールキャラを売りにしている君が一匹狼の役を淡々とこなすなんて最高だよ!
次のシーンも頑張ってね」
「はいっ」
監督さんに褒められてる。
わたしまで嬉しいよ。