この溺愛、絶対ナイショです♡
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景斗と棚部のキスシーンを見た平岡が走っていってしまった。
景斗は監督と話していて、気づいていないようだ。
今までの俺なら何も見ていなかったかのように、放っておいた。
だけど、気づいたら走っていたんだ。
平岡の腕を掴むと、泣きそうな顔で振り向いた。
相当辛かったんだな。
好きな人が他の人とキスするところなんて、見たくなかったと思う。
しかも、アドリブで二回もしているから尚更だろう。
思わず抱きしめてしまって、少し後悔した。
だけど、今しか平岡に触れられないと思ってしまった自分がいた。
平岡は泣きながらたくさん話していて、離そうにも離せなかった。
景斗だから、泣かせているのか。
こんな好きな子を苦しめて、平岡が可哀想だ。
いくら仕事だとはいえ、彼女の気持ちぐらい聞いてあげてもよかったんじゃないか?
あいつは不器用だから多分してないだろうし。
俺だったらこんな風にしないのに。
「…俺にしなよ」
「……えっ?」
「俺なら平岡を泣かせない」
平岡は困っているようだった。
まあ、当たり前だろ。
突然、抱きしめられた上に告白されるんだから。