悲しい魚

はじめてのキス

ライは、アタシの身体を
自分の身体で隠しながら
暗い
ライブハウスの壁伝いに
スミッコまで
連れて行った

トイレのドアと
公衆電話のはざま
ごみためみたいな窪み
壁には
幾重にも貼り付けられた
ロックバンドのポスター


誰もいない…


ドキドキ…


ライは、アタシの顔を両手で覆うと
ぬるぬるした舌を
アタシの口に入れてきた


ビリビリ


電流が身体を抜けるみたい


足が


がくがくする


ライとアタシの
はじめてのキス





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