好き、なんだよ。
私はこういう決め事の時、誰にも恨まれないよう空いているところに名前を書く。


迷ってる風を装ってうろうろし、最後の2人になった時に名前を書く。


策士、だよね。


自分でも分かってる。


自覚有りだから許して下さい。


この方法を思い付いたのは小4。


じゃん負けして泣かせちゃったことを反省して生み出した技だ。


誰も傷付けない、傷つけちゃいけない。


そう思ったんだ。



「じゃあ、1列ずつな。渡辺の列から」



そう来たか。


1列ずつ呼ぶスタイル。


混雑を防ぐ上に仲良しメンバーと会話させない自我を大事にする方法。


だけど、うざったがられるよね。


現に周りからブーイングが。



「私達の列、もう行っていいですよね?」


「早くしないと...」



生徒達が次々とぼやく。



「急ぐな。多かったらじゃんけんするだけだ。とりあえず名前書け」



屈しない我がクラス担任、保健体育の谷口宏明。


さすがです。


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