好き、なんだよ。
「栄木さんを恨んでたし、憎んでた。朽木と栄木で比べられて、なんでも凡人な私に対して栄木さんは勉強出来るし、運動出来なくても可愛いし。栄木さんがいない隙を狙って1週間前から毎日1つずつ栄木さんの私物を盗んでバッグに入れてあそこに置いてた。絶対やってやるって決めて計画的犯行だった。情状酌量の余地はないと思う」



私の話を聞いて唖然とする彼。


こんなの真実の氷山の一角に過ぎないのに、驚きすぎだ。


それに自分も関わっているなんて思いもしないだろう。


知らないままでいい。


悪いのは私だけでいい。


全て私が悪い。


私はさいってえな人間だ。



「改めてさいってえだな、お前」



うん。


それでいい。


嫌いでいい。


嫌いなままでいい。


許さなくていい。


もう、お仕舞いでいい。


灰色の道路に浮かぶ2つの黒い影。


私の影ごと消し去りたい。


踏みつけてもらいたい。



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