好き、なんだよ。
遊び疲れてきた頃には5時を回り、すっかり辺りは暗くなっていた。


しかし、樋口くんにとってはこれからが本番だ。


夜のイルミネーションこそが最高に映えるし、最高の輝きを放っている。


そこに私がいい感じに映り込めば、なんともデート感のある写真に仕上がるというわけだ。


人間の手や後ろ姿だけでもあるのと無いのとでは全然違う。


無いものはただの風景写真だけど、人間が入ることで物語になる。


この手はこの位置にあるからこう撮った。


じゃあその写真を撮った人のその時の気持ちはどうだったのか。


なんてことを見る人に想像させ、見る人はそれを楽しむことが出来る。


それもまた写真の良さだと思う。


完全に知ったかぶりしていて恥ずかしいから樋口くんの前では言わないけれど。



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