好き、なんだよ。
夜景に熱中していると、樋口くんがぼそっと呟いた。



「ずっとこのままがいいな...」


「えっ...」



樋口くんが投げ掛けた視線を私はわざとずらした。


そんなこと言われたら、普通じゃいられなくなる。



「朽木さん」


「あっ、はい」



樋口くんが立ち上がり、私の隣に腰かける。


私の手のひらに樋口くんの大きな手が重ねられ、静かに握られる。



「樋口くん...」


「今俺のこの瞳に映るのは朽木さんだけだよ。この瞳を通して朽木さんをずっと見ていたい。この先も俺のカメラに映る人は朽木さんだけがいい。俺の心のアルバムは朽木さんでいっぱいにしたい。だから......俺と付き合って下さい。絶対この瞳にもカメラにも、泣き顔は映さないから」



私は......


頷いた。


人生初のカレシが出来た瞬間だった。



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