好き、なんだよ。
体育祭の時。


オレは夏音を見るよりも長い時間朽木を見ていた。


探していたんだ、彼女との仲直りの糸口を。


夏音が怪我してリレーに出られなくなった時、樋口に声をかけたら絶対に朽木を指名するだろうと思っていたのだが、見事その予想は的中した。


オレが積極的に話しかけてまた笑ってくれたら仲直り出来るかもしれない。


なんて思って接点を自ら作り上げたのだが、結局全て水の泡だった。


意味不明なことをしている。


自分でも分かってる。


なのにオレは知らず知らずのうちに朽木奈和を見ている。


彼女を探している。


まるで迷子の子猫を探すかのように。


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