好き、なんだよ。
私は終わるとすぐに教室を飛び出した。



「奈和ちゃん!」



春くんの声が聞こえたけど、私は振り返らなかった。


色んな人にぶつかりそうになりながらトイレに突進していくと、出入口で誰かにぶつかってしまった。



「すみません...」



謝ってから1番端の個室に駆け込んで誰にも迷惑にならないように泣いた。


泣いて、


泣いて、


泣いて、


分かった。


私はやっぱり、


やっぱり、


彼が...


玲音くんが、


好きだ。


大好きなんだ。


吐きそうなくらい辛くて苦しくて、


だけどムカムカもモヤモヤも消えてはくれなくて。


私は幸せになれるのだろうかっていう疑問符で心が押し潰されそうになった。


私は何度も何度も間違いを犯す。


結局答えはたった1つ。


その答えを変えられず、


傷つき、傷つけられ、


このまま、


何も変わらないまま


私は生きていくしかないのかな?


顔を上げても、この歪んだ視界に映るのは汚れたタイル壁だけだった。

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